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「俺は昨日帰国したばかりで、上海支店の――」
「あ、すぐにご連絡しますので少々お待ちください!」
ほら!
やっぱりそうだったじゃない!!
あたしの早とちりだ。
『ミサキ』って言うのは目の前の彼で、同じ会社って言っても上海支店の人の名前までは知らない。
だから彼のことを知らないのも当たり前で……。
受話器を取って内線番号を。
「はい、榊です」
いつもの彼の声に思わず顔がゆるんでしまいそう。
「受付です。今、こちらに『ミサキ』さんとおっしゃる方がいらしてます」
「――えっ?」
帰ってきたのは意外にも驚いた声で……。
「あの?」
「い、いや、なんでも。すぐに下りるから」
そう言って電話は切られた。
なに?
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