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「三崎!松岡も!」
後ろから聞こえる彼の声にビクンと身体がはねた。
「おぉ!榊、昨日ぶりだな?」
松岡と呼ばれた目の前の彼は「おう」おどけるように軽く手を上げて、
「ホント、昨日は助かったわ、拓海」
『ミサキ』さんはグロスたっぷりな唇でニコリと笑った。
「ってか、上にあがってこいって言ったろ?」
「いや~、一応『本社』務めじゃないからさ、警備員に止められるのもヤだし、三崎がアポあるって言うし」
「それよりも今日のどうだったの?失敗なんて言ったら許さないわよ?」
「誤魔化すなよ、三崎」
「あら、過ぎたことはもういいじゃない?」
「ねぇ?」と言って彼女は拓海を見上げて――。
彼女たちがどういう関係にあるのかはわからない。
だけど、とても親しげできっと仕事のことをわかりあえる『仲間』なんだっていうのは想像がついた。
「で、どうだった?」
ううん。
「誰がプレゼンしたと?」
それ以上に、
仕事のできる『営業マン』と、
パリッとしたキャリアウーマン。
正直、
『お似合いだ』
なんて、
思ってしまった。
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