1521人が本棚に入れています
本棚に追加
泣いて泣いて、
頭の中が空っぽになるまで泣いた。
あたしの涙は全部拓海の胸に吸い込まれていく。
その涙も出し切って、嗚咽も収まってきて・・・・・・。
「なぁ、奈々美」
ゆっくりと顔を上げると長い指があたしの涙を拭ってくれる。
「もういっかい、言ってもいい?」
なんの事か分からなくて。
少し首を傾げるあたしに落ちてくるのは、
いつもの甘ったるい笑顔。
「俺と付き合ってください」
そんなの――
答えは決まってる。
「はい・・・・・・」
そう答えると、強い力でギュッと抱きしめられて、
「はぁ」
あたしを腕から解放すると、拓海はいきなり傍の椅子に座り込んだ。
なに?
なんで?
困惑するあたしに拓海はもう一度小さく息を吐く。
そして、
「本気でどうしようかと・・・・・・」
「えっ?」
見上げた彼には疲れたような安心したような表情が。
「もうダメかと思った」
最初のコメントを投稿しよう!