その手に花を

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悲鳴のような彼女の叫び、掴んだ俺の手は振り払われて・・・・・・、 「あたしの事は気にしないでって言えばいいの?おめでとうって言えば満足!?」 ――えっ? 「よかったですね!榊さんも三崎さんの事が好きだったんでしょう?タイミングが悪かっただけで、あたしに会う前にコクられてたら」 「ちょっ、待てって」 何言って・・・・・・。 「三崎さんと付き合うつもりだったんでしょう!?」 「そんなわけ」 あるはずがないだろ! そういいたかったのに、 「『仲間』だなんて、『同級生』だなんて嘘っ!  好きだったんじゃない!!」 奈々美の叫び声が胸に突き刺さった。 『好きだった』 確かに昔はそうだった。 だから、即座に『違う』と言えない俺に奈々美はキッと俺を見上げた。 「そう、なんでしょう?」 こんな言葉、説得力がないのはわかってる。 たとえ昔の事だとしても、彼女が言ってることは事実だから。 でも、他に言いようがない。 だから、 「・・・・・・違う」 そう答えると、「嘘」と即座に返ってくる声。 「奈々美」 「二股かけるつもりですか?」 「そんな事しない」 「好きなんでしょう?」 「俺が今好きなのは――」 「やめてっ!」 ドアの前に立ちふさがる俺を突き飛ばすように両手を突っぱねる。
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