1521人が本棚に入れています
本棚に追加
悲鳴のような彼女の叫び、掴んだ俺の手は振り払われて・・・・・・、
「あたしの事は気にしないでって言えばいいの?おめでとうって言えば満足!?」
――えっ?
「よかったですね!榊さんも三崎さんの事が好きだったんでしょう?タイミングが悪かっただけで、あたしに会う前にコクられてたら」
「ちょっ、待てって」
何言って・・・・・・。
「三崎さんと付き合うつもりだったんでしょう!?」
「そんなわけ」
あるはずがないだろ!
そういいたかったのに、
「『仲間』だなんて、『同級生』だなんて嘘っ!
好きだったんじゃない!!」
奈々美の叫び声が胸に突き刺さった。
『好きだった』
確かに昔はそうだった。
だから、即座に『違う』と言えない俺に奈々美はキッと俺を見上げた。
「そう、なんでしょう?」
こんな言葉、説得力がないのはわかってる。
たとえ昔の事だとしても、彼女が言ってることは事実だから。
でも、他に言いようがない。
だから、
「・・・・・・違う」
そう答えると、「嘘」と即座に返ってくる声。
「奈々美」
「二股かけるつもりですか?」
「そんな事しない」
「好きなんでしょう?」
「俺が今好きなのは――」
「やめてっ!」
ドアの前に立ちふさがる俺を突き飛ばすように両手を突っぱねる。
最初のコメントを投稿しよう!