その手に花を

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今から言うことで俺は奈々美の信用を失うかもな・・・・・・。 いや、もう失ってるか。 「向こうでクライアントとか、いろんな女に言い寄られて・・・・・・  断る口実に三崎の名前を使ったんだ」 そう言うと、俺の腕の中で奈々美が僅かに揺れた。 「三崎も俺に合わせてつじつま合わせてくれて」 「――違う」 「えっ?」 奈々美のか細い指が俺の袖を掴んで、 「違うよ」 そう言ってやっと俺を見上げた。 今にも泣いてしまいそうな瞳で。 「三崎さんは、拓海の事が――」 ・・・・・・多分、奈々美の言おうとしてることは正しい。 だからって、 「そうだとしても、俺は応えられない」 「・・・・・・嘘、だって電話に」 「うん、勘違いさせるようなことになって悪かった。  あの時、3人で飲んでて」 「・・・・・・3人?」 少し不思議そうに首を傾ける奈々美に「うん」と相づちを。 「松岡が気分悪くなって介抱してる間、携帯の入った上着ごと三崎に預けたんだ」 「・・・・・・」 『嘘』と言いたげな奈々美の顔。 確かに嘘みたいな話だけど、俺は本当の事を話すことしか出来ないから。 「三崎には詳しく奈々美の事を話してなくて、その・・・・・・  上海にいたときのように俺が奈々美に言い寄られて仕方なく付き合ってると思ったらしくて」 「・・・・・・」 「それで奈々美にあんなことを言ったんだと思う」
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