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そう話す俺を奈々美は困惑した顔で見上げてた。
そして、
「でも、三崎さんは」
「ちゃんと伝えた」
さっきの台詞を繰り返そうとする奈々美の言葉を遮る。
仮に三崎に告白されたとしてもどうしようもない。
もう俺は高校生じゃなくて、
あの時と同じ気持ちは持てなくて、
「俺が好きなのは奈々美だって、
奈々美のことは本気だって――」
その後、三崎には笑われたけど。
そこまで話して、俺は奈々美を開放した。
俺の袖を掴んでいた奈々美の指も簡単に剥がれていく。
腕の中から奈々美の温もりがなくなると、
クーラーの風がいやに冷たく感じた。
「奈々美」
今更ながら可愛い名前だと思う。
柔らかくて耳に心地よい名前。
これからもこの名前を呼び続けたいんだ。
だから、
「俺を信じて――」
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