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「免疫が付かなくて変な男がくっついたらどうしましょうとか思ってたんだけど、よかったわぁ。榊さんのような方で」
「いや、まぁ……」
こう手放しで喜ばれると反応に困るな。何しろ、
「……」
父親は無言で日本酒をあおってるんだから。
「ほら、あの子ったら思ったことをすぐ口にしないでしょう? 私の子供なのに、どうしてあんな風になったのかしら? ねぇ、お父さん」
「……ん? あぁ」
性格は父親似らしいということはよく分かった。
着付けが終わった奈々美が帰って来て、それから二人で初詣に。
「お母さん、変なこと言いませんでした?」
少し、恥ずかしそうに見上げる彼女は可愛くて仕方ない。
「いや。そう言えば高校のときスカウトされたんだって?」
「あっ、アレは違くて! ただの読者モデルだったんです! それをお母さんが――」
でも、実家に来てよかった。昔の彼女とか、いろんなことが分かって。それに、
「似合ってるよ」
「えっ?」
「振袖」
「……あ、ありがとう」
「モデルみたいだ」
「……今の、馬鹿にしたでしょう?」
拗ねるように見上げる顔も、
「いやいや、本当に。今すぐスカウトしたいくらいね」
「――もうっ!」
可愛くて仕方無いよ。
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