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「彼氏、いたのよね?」
「――い、いやっ、えと」
まるで尋問。
たしかに今までは『居る』って答えてたんだけど――。
「だ、だからぁ、言ったじゃないですか!あれは川本さんとかの誘いを断る嘘でぇ」
琴ちゃんの咄嗟のフォローにコクコク頷いてみる。
ってか、これは嘘じゃないし!
「で、前回のコンパで捕まえたわけだ」
「やっ、そうじゃ、ない、っていうか・・・・・・」
これも嘘じゃないけど、背筋に冷たいものが走る。
舌は回らないし、うまく言葉が出て来ない。
「ほら、先輩!眉間にシワ!!」
そんな琴ちゃんの声に、先輩たちはハッとしたように怖い顔を緩ませる。
すると琴ちゃんは少しホッとしたように小さく息を吐いて、
「先輩達だって、金曜のコンパのときに『美男美女よねぇ』なんて言ってたじゃないですか!」
「――えっ?」
それには本気で驚いて、思わず声が出るほど。
ゆっくりと周りを見渡せば、
「・・・・・・まぁ、そうだけど」
「他に言い様がないじゃない」
なんてバツが悪そうに口にして・・・・・・。
「あ、時間!ほら奈々美、着替えよ」
「う、うん」
何がなんだか分からないけど、
最悪の事態は免れたの、かな?
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