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「クソ…っ」
何とも言えぬ恐怖が押し寄せてきて、最近では癖になりつつある舌打ちをする。
これから訪れるであろう未来、もう臨むことのできない未来、そのどちらにも絶望していた。
胸の燻りをどうにかしたくて、ついポケットに潜ませている煙草に手が向かう。
「……何、やってんだ俺は」
更に自分を追い込んでどうする。
ポケットに向かっていた手は何かを掴むこともなく、ダラリと垂れ下がった。
腕時計に目を落とすと、そろそろバスが来る時間だと鞄を背負いなおす。
季節はもう冬、12月に入ったばかり。
すっかり日も短くなり、まだ17時前だと言うのに太陽は沈みかけている。
バスが、やって来た。
案外早かったな、と思いそれに乗り込む。
席に座ることもせず、吊革を掴んで窓の外を見た。
流れる景色を眺めながら、欠伸を一つした。
何だ…眠いな。
座る気はなかったが、あまりの眠気に座ることにした。
最近あまり寝ていないことも相まって…だな。
少し仮眠でもとるか…。
そう思って、静かに目を閉じた。
「う…うっ、……グス、」
止まらぬ涙がボタボタと地面に落ちる。
いけない。
家に帰るまでに泣き止まないと…。
しかし次から次へと溢れてくる涙は一向に止む気配がない。
ハンカチを取り出して涙を拭った。
しかしすっかり濡れきったそのハンカチでは、もう水分もあまり吸収しない。
ブッブー…
バスの音がした。
あ…来ちゃった…
こんな顔、乗ってるお客さんに見られたくない。
もう一本遅いバスに乗ろう。
そう決めて、目の前にやって来たバスに乗ることなく見過ごす。
次のバスには乗らないと…帰りが遅かったらお母さん心配するし…
それから数分、何とか止まった涙にホッとしてすぐそこの公園に向かった。
何とか目の腫れが引くようにと願いながら顔を洗う。
その間、今日の出来事を思い出してまた泣きそうになってしまった。
…学校、もう行きたくないな。
何も楽しくない。辛いことばかり。
「……ホントに死んじゃう?」
手首には、無数の傷。
もっと深く切れば。私はこの世から、消える。
ブッブー…
「え、もう来ちゃった!?」
予定よりほんの少し早く到着したバスに、慌てて駆け出す。
何とか乗ることができ、息をついた。
「ね…むい…」
いつもはそんなことないのに。
落ちてきた瞼に抗うこともできず、私は意識を落とした。
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