審判の山

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「ひいいいぃぃ!!?」 「やべぇな、逃げるぞ!」 史郎さんが走り出し、俺はその後に続く。 …いや、そもそも奴が狙っているのは史郎さんなのだから、むしろ着いて行かない方がいいのでは? そう考えたのは史郎さんも同じだったようで、着いて来るなと行った。 「二手に分かれるぞ!」 「あ……はい!」 史郎さんは右へ、俺は左へと走る。 案の定、巨大トカゲは史郎さん目掛けて走って行った。 俺たちの脚力はここじゃかなり高いかもしれないが、それでも巨大トカゲの方が早かった。 史郎さんにどんどん追いついていく。 「あ…、危ない……!」 もう駄目だ、と思ったとき。 俺の真横を、ものすごいスピードで何かが過ぎ去って行った。 「…っ!?」 金色の髪が目に入る。 一瞬ゼノかと思ったが、人工的に作られた痛んだ金髪にゼノではないと分かる。 あれは……蘭丸か…!? 蘭丸は体型の割にはでかすぎる大剣を構え、巨大トカゲの方へと飛び出していった。 「お、おい…!危ないぞ…!」 俺は止めるために叫んだが、蘭丸は聞く耳を持たず、巨大トカゲのすぐ傍まで行った。 蘭丸は巨大トカゲと一緒に並走している。 それに気づいた巨大トカゲが、ギョロリと蘭丸の方を見た。 そして尾を高く持ち上げ、一気に蘭丸を目掛けて振り下ろされる。 やばい…潰される! ヒヤリとしたのもつかの間、蘭丸はそれをかわし天高く飛び上がると、大きな木の枝に着地した。 よし…!何で乗り込んでいったのかわからないけど、あのまま無事逃げてくれたら… 巨大トカゲはターゲットを蘭丸に切り替えたようで、史郎さんはこちらに戻ってきた。 「何考えてんだあいつ…!?俺を助けたってわけじゃなさそうだぞ」 「俺にもさっぱり…いきなり飛び出して行って」 そうこうしているうちに、巨大トカゲは尾を蘭丸の方へと振り回す。 蘭丸はそれも避けて別の木に飛び移ると、そのまま踏み込んでジャンプするかのように巨大トカゲに向かって一直線に飛び込んでいった。 「……!?馬鹿か!何してんだ!!」 史郎さんが隣で怒声を飛ばした。 それもそうだ。わざわざ敵に突っ込んで行くなんて… 「ごちゃごちゃ煩ぇんだよ!戦う勇気がねぇなら、黙って見物してろ!」 蘭丸はそう言うと同時に、身の丈に合わない大剣を振り上げた。
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