審判の山

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「えーっと……俺も、史郎さんのことはホント最近知ったから、詳しいことは分からないんだ」 団体って言うほど共に行動してきたわけでもないし、俺にしてみれば昨日初めて会った人だし… 「そうなのか?」 「ん…そこまで俺たち仲が良いってほどでもないしな。もともとは個人行動が多かったから…」 適当に話をでっちあげて当たり障りのない程度に話すと、ゼノはふうんと納得した。 「そんなひっそりと暮らしてたのに、何か悪いことしたな…」 ゼノは申し訳なさそうに眉を下げる。 「いや…あんな急に戦争紛いなことが起こるとは俺も思ってなかったしさ」 「そうだよな。俺も正直、昨日の騒動はまだ夢なんじゃねぇかって思ってんだ」 「結局、昨日の騒動は収まったのか?」 俺はあの乱闘の最中に、ウーニコルネ軍に捕まってしまったためその後の事情を知らない。 「まあ、何とかな。でも緊張状態が続いてる…。何であんなことになったのか、まだ原因も分かってねぇんだ」 「そうなのか…」 聞いたところによると、ウーニコルネとドラグーンは友好条約を結んでいただとか。 ここ何十年もその状態は続いていたのに、突如昨日……ドラグーンが攻め入ってきた。 普通なら国境の堺に大きな門が立ちはだかっていて、あんな人数が一斉に入れることもない。 地球でいうパスポートみたいなものも当然必要らしい。 それなのに、ドラグーンの連中はその関門を何らかの形で突破して、ウーニコルネに突撃してきた…。 「変な話だよな…。今までそんな不穏な動きなかったのに」 「今までは普通に仲が良かったのか?」 「それなりにな。悪くはなかったと思うんだ」 そこそこ…ってとこか。つまり、条約が破れるほどの関係でもなかったと。 「今は考えても仕方ねぇし、とりあえず様子見ってところだけどな。何人か視察も含めてドラグーンに派遣したし、明日には戻って来るから…それ待ちだな」 ゼノは俺が無知なことも気にとめず、色々と話してくれた。 何も知らない俺にとってはすごく助かる。 「それにしてもさ」 ゼノは話を変えて、俺の刀を指差した。 「チヅルの持ってるその武器…何それ?」 「え?」 何それって言われても… 「変わった剣だよなぁ…俺、そんなの見たことねぇけど」 「え!?これ、あの倉庫にあったものだけど?」 見たことがないなんて、一体どういうことだ。
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