審判の山

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「そうなのか?……うーん…でもこの国ではそんなもの売ってないけどなぁ」 「じゃあ一体この剣は……」 どこからどう見ても日本刀だ。 確かに、この世界のこの国には不似合いな気がする。 どう見てもこの国は西洋風で、そんなところにこんな純和風なものが混ざっているなんて。 「チヅル、何でそれ選んだんだ?その剣、あまり丈夫そうに見えねぇし敵なんか倒せるのか?」 「えっと……、倒せるかどうかは自信ないけど…。俺の体格的にこれぐらいのものが使えそうだなーって思って」 「おいおい、そんなんで騎士を志願して大丈夫かぁ?」 ゼノが心配そうにこちらを見てくる。 仕方ないだろ…。今のところ、騎士になるぐらいしか助かる道がないんだから。 「………やってみるしかないだろ」 日本刀がどの程度の切れ味で、どれぐらい有用性があるのか俺が分かるわけない。 そりゃ江戸時代ぐらいの人間ならこれの価値がいかほどか分かるかもしれないけど… そこまで考えて、俺は少し引っかかるものを感じた。 もしかしてこの剣……本当に”ヨソモノ”なんじゃないか……? 「チヅル、見たところあまり筋肉なさそうだけど…。剣術の心得はあるのか?」 「剣術……?ないよ」 「え!?」 俺の言葉に、ゼノは目を見開いた。 あ…今の、失言だったかな。 「マジで…?なのに剣を手に取ったのか?」 「俺が使えそうなものが何もなかったから…とりあえずこれでいいかって」 俺の返答に、ゼノは絶句した。 や…やっぱりマズかったのかな。そりゃ、死ぬかもしれない場面で経験のない剣を選択するってのは正気の沙汰じゃないかもな… 「チヅル………死ぬなよ」 「そんな真顔で言われたら逃げ出したくなるんでやめてください」 ゼノは「冗談はさておき、」と日本刀を鞘から抜き取った。 冗談に聞こえないんだけど… 実際、気を抜けば死ぬような状況に置かれているんだ。 ゼノは日本刀をまじまじと見つめる。 「こんな剣見たことない。でも……すごく大切にされてたのが分かる」 「そんなこと分かるのか?」 「長年あの倉庫にあったからボロくはなってるけど、丁寧に手入れしてあった痕跡がある」 「へぇ…」 剣術を心得てるから分かるものがあるのかもしれない。 ゼノは日本刀を俺に返した。 「まぁ、腕前はともかく武器に関しては悪くないと思う」
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