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「・・・はぁ、・・はぁ・・・・・やった・・・か?」
天地も揺らぐ衝撃音とともに目の前の怪物は、ゆっくりと倒れていった。
「裏ボス戦とか・・・って・・・・ない・・よね・・?」
隣の少女が、肩で息をしながら、心配そうな視線を向けてくる。
「わかん・・・ない・・い・・一応、戦闘態勢崩さないようにして・・・」
「うん」
頷くと、再び武器を構えなおす。
だがしかし、目の前の怪物はあっさりとポリゴン片へと変化して、空中へと儚くっ散って行った。
「・・・・・・」
視界に【コングラチュレーション】のロゴが、盛大なBGMと共に現れる。
少年少女は、ゆっくりと膝を落とし、互いに視線を合わせると、満面の笑顔と共に、背中から地面へと倒れ込んだ。
「・・・・はぁ、遂に、やったね」
「あぁ、終わったよ・・・・・」
「本当に・・・良かった・・・」
突然、涙声が混ざったものなので、少年はどうしたのかと、身を起こす。
「・・・・・・・泣いてんの?」
彼女はそう言われると、ゴシゴシと腕で涙を拭ってから、こちらも身を起こした。
「だって、・・・うれしいんだもん・・・・・うっ◯◯◯君のバカッ!!」
「ぅわっ!・・・・な、◯◯◯?」
彼女は、少年の胸の中で泣いた。
「・・ぃっく・・・・」
「・・・・・・」
少年は暫く呆然としたが、彼女を抱きしめる腕にそっと、静かに力を込める。
「本当にもう。全部、終わったんだ・・・」
一言一句を噛み締めるように言うと、自然と涙が溢れてきた。
「・・・・ぇ、◯◯◯君?」
くぐもった声がしたかと思うと、◯◯◯が見開いた目で、こちらを見上げる。
「ん?どうした?」
返ってきた声が、震えていた。
「か・・・体・・・」
「え・・・・?」
見ると、俺の体は足元から順に、半透明となって消えかけていた。
「な・・・何だこれ・・・?」
状況が掴めないでいるその時、頭上から機械的な女性の声が聞こえる。
「◯◯◯◯◯◯様ゲームクリアおめでとうございます。今からログアウトが始まりますので、もうしばらくお待ち下さい」
「ログアウト?・・・ってことは、出れるのか!?やった!やったぞ◯◯◯!俺達ここから出られるんだ!」
歓喜のあまり、立ち上がってガッツポーズをするが、◯◯◯は、打ちひしがれたかのように、微動だにしない。
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