第3話「無重力ヒエロ」

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妹は美しい眉を1ミリ上げ、 俺を凝視して言った。 「あの泥棒猫の店長さんの依頼でしょう?あたし嫌だな~」 「いやいや、そうなんだけど、 俺の調査能力では限界がね、わかるだろう?」 まだ高校生の妹は、 何故か俺に対して女房風を吹かせ、 事あるごとに店長と衝突する。 ある事情で実家を飛び出した俺が、 『奇談探明堂』に居候しているのが、 妹には店長に騙され働かされていると思っているのだ。 店長の美貌に、 女性特有の嫉妬が働いているのも多分にあるのだが。 「シズクの得意技に頼るしか無くてね」 「妹に犯罪行為を強要するとは、まったく因果な商売ね」 注文したあんみつを頬張りながら、 「次はチョコパフェね」と追加注文している。 普通の調査なら、 俺の卓越した情報収集スキルでこなせるのだが、 如何せん範囲外だ。
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