第3話「無重力ヒエロ」

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「以上のような推察から、 宇宙旅行者の一員であるロシアの富豪Uがピックアップされました」 俺は店長室で、 今までの経過をブリーフィングしていた。 「ロシアのUか・・・ 確かに恨みというより怨念渦巻く人物だな」 資料を見ながら、 店長は美しい相貌を曇らした。 「時に助手君、 これは君だけで収集した情報ではないね?」 店長は美しい柳眉を1ミリ上げ、 俺に詰問してきた。 やはり、嫌な予感が当たった。 「えぇ、まぁ、ウチの妹がどうしても店長を手伝いたいと言って・・・」 俺は心の中の耳をペタンと伏せて、 尻尾を巻き込んでいた。 「・・・そうか、健気な妹御だね、今度お礼を言わねば」 「いえいえ、お気持ちだけで充分です」 俺はトラブルの種を避け、話を戻した。 「ロシアのUといえば、 ロシア周辺の少国家紛争で、 天然ガス獲得の為に軍部と結託して、 大量の民族虐殺を行ったと噂される人物だね」
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