第3話「無重力ヒエロ」

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「ハンチントン病の患者には申し訳ないが、 症状に『舞踏様不随意運動』いわゆる『舞踏病』がある」 「『舞踏病』というと、 踊りを踊るようなしぐさをする病気ですね」 「『ルサ・ルカ』の呪いで、 踊り狂い自殺したと考えられないかね? 神聖な存在『ヒエロファニー(hierophany)』な『ルサ・ルカ』が、 民族虐殺という多くの怨嗟で顕現して、 Uを呪い殺した」 「実は富豪Uを調べた資料の中に、 自殺する間際の言動が記録されていました。 『あの時、目の前で娘を殺された占い師の母親が私を呪っている! もう踊り狂うのは嫌だ!』とあります」 店長室に沈痛な静寂が流れた。 娘を殺された母親の素性を調べるコトは出来ず、 Uを呪った確証もない。 まして、母親が『ルサ・ルカ』になった、 あるいは『ルサ・ルカ』に呪殺を祈願したという証拠もない。
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