第3話「無重力ヒエロ」

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「Tさんが見たのは『ルサ・ルカ』がUを呪い殺す為に、 宇宙空間まで行った姿を目撃したというコトですか!?」 「『奇談探明堂』風に説明をするなら、 あるいはそうなるね」 「国際宇宙ステーションに入れなかったのは何故ですか?」 「妖怪とか怨霊は、 閉鎖された空間には招き入れてもらわねば入れない、 という縛りがあるらしいね」 「民族学的にですか?」 「いやいや、 怪談奇談的にはそういう風に言われているのさ」 そう締め括り、 「にゃは~ん♪」と鳴きながら、 店長は寄って来た猫を拾い上げ抱いた。 踊り狂い殺すという醜悪な妖怪と、 妖精のように美しい乙女の『ルサ・ルカ』を想像した。 やはり女性は恐ろしくも神聖な存在だと、 店長や妹を思いながら俺は感慨に耽った。
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