第3話「無重力ヒエロ」

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「なぁ、助手君」 俺がスマホのアプリを確認している時に、 店長は唐突に言った。 慌てて振り返ると、 店長は猫を抱きながら、 空に流れる雲を見つめている。 「妹御は息災かね?」 腰まで届く長い銀髪を揺らし、 眼鏡の奥の青紫色の瞳を煌めかせている。 この類稀な美貌の持ち主である店長は、 直感も常人離れしているのか、 時々鋭いコトを言う。 何故、俺の妹の話題を!? 「元気だと思いますよ」と、 目を泳がせながら、口笛混じりに答えた。 まさか、スマホの音声が漏れたのか!? 妹という共通項であるスマホを、 目を下にチラリと覗いた。 実は妹に頼んで、 ある音声アプリを作ってもらったのだ。 その音源は、当然店長の美声だ。 今までICレコーダーに溜めた音声、 「おはよう、下僕君」 「にゃは~ん♪、ごきげんよう下僕君」 「コラッ、下僕!」
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