第3話「無重力ヒエロ」

5/17
前へ
/17ページ
次へ
とても幽霊とか非科学的な迷信を信じられず、 「シャルル・ボネ症候群」だと自分を納得させていました。 そして精神をコントロールして、 極力幻が見えないように努めて、 やがて宇宙飛行士になりました。 あれはISS長期滞在の5日目、 船外活動支援の為にロボットアームを操作している時でした。 ロボットアームを操作する観測用モジュールには、 7枚のガラス窓と中央に大きな円形の窓があります。 眼下に見える青と白に輝く地球は、 それはそれは美しい光景で、 我知らず感動していました。 その感動が、 幻が見えないようにしていた精神の タガを外してしまったのでしょう。 ロボットアーム作業も落ち着いてきた頃、 円形の窓から見える黒い虚空からソレは現れました。 最初はデブリ、 宇宙ゴミのコトですが、 白く見えるソレはデブリだと思いました。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加