第3話「無重力ヒエロ」

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しかし、 徐々にコチラに近づいてきて、 ソレの形状がわかると我が眼を疑いました。 白いドレスのような服の長い金髪の美しい女性が、 徐々にISSに近づいて来るのです。 宇宙の漆黒の闇をバックに、 白い服の女性は両手を優雅に揺らし、 舞うように迫ってくるのは幻想的でした。 永遠とも思える時間が過ぎ、 作業を忘れて女性を見入っていると、 やがて女性は窓まで至近まで来ました。 窓を挟んで手を伸ばせば届く距離に、 幻想的に美しい女性がいます。 その長い睫毛、 可憐な唇、 深淵な水面のような瞳、 揺れる長い金髪、 何もかも美しく儚い乙女。 その可憐な唇が何か囁いています。 当然聞こえる筈がなく、 唇を読もうとしましたが無理でした。 でも女性の表情から、 どうやら「開けて」と囁いているとわかりました。 到底無理な相談で、私は首を振り拒絶しました。
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