海辺のバス停

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「くすくす。ホントにいいの。」 「バーカ。何言ってんだよ。」 放課後の図書室の片隅で 聞き覚えのある声が静かに響いてくる。 同じクラスの坂口義弘だと すぐに気がついた。 今週は図書委員の当番で 毎日、この場所で過ごさねばならない。 島崎早苗、当番票の自分の名前を恨んだ。 壁に貼られたカレンダーを確かめる。 今日は間違いなく月曜日。 今どき本借りる生徒なんて いないよとため息を静かについて かばんの中から 教科書を取り出した。 普段、教科書を開くことなんてしないのに今日はどうしても教科書を読みたくなった。 ノートを取り出して 机に向かう静かな空間。 クスクスと笑い声だけが 耳元に入ってくる。 気を取り直して 方程式を解いてみる。 あれっ。 ちゃんと教科書を読むと スラスラと解けていく。 今まで嫌いだったのに…。 image=481920651.jpg
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