第33話

5/14
前へ
/14ページ
次へ
 護国寺周辺。近くには高速道路があり、いくかの大きな道が交差していた。そのせいか車の行き交いがとても激しかった。 「住所を確認すると、駅からそんなに離れていないようだな……こっちだ」 電車のつり革を持ち揺られている間、絵恋の母親にどうやって復讐しようかと考えていた。 ――いくら自らが手を下していないとはいえ、秋雄の命を短縮させた罪は重い。 呪詛のように、何度も脳裏に繰り返した。 手術が成功し喜びで満たされた分、その反動は大きかった。今は憎しみの心が、たやすく全てを支配しようとしていた。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加