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「……お入りください。今錠の方は開けました。そのまま玄関までお入りくださいな」
「はい。失礼します」
母親は浮かれている様子はなかった。相変わらず重々しい語調だった。
門を開け、玄関の前に立った。ここまで来たんだともう一度強く決心をし、ドアノブを回転させた。
扉を開けると、見た目は和風だったのに、畳ではなく木目の床が段差無く広がっていた。
「殺風景でしょう? 私の体がどうしようもないから、こんな造りなの。どうぞ、ソファーの方へお座りになって」
絵恋の母親が依頼者、人見知りであれば、俺がターゲットに選ばれたのは知っているはず……。なのに顔色さえも変えないんだな。惚ける気なのか?
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