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「お母さん。俺がここへ訊ねてきた理由はお分かりですよね?」
大きな窓辺の前にある真っ白なソファーに深く腰を掛けた。カーテンも白、テーブルも白。あちらこちらが純白の色使いだった。
埃や汚れが目立ちやすいこの色を選択した部屋は、神経質で堅苦しく落ち着かない室内だった。
「さあ……分らないわ? 秋雄さんが見つかったとか?」
「フッ……そんなはずないでしょう? 貴方が一番良く知っているじゃないですか? なぜ、睡眠薬などお使いになったのですか? 絵恋さんも双子もぐっすりと寝ていましたよね?」
「やだ! なんの話? 私はお茶を差し入れしただけよ……そうだわ、私ったら――今お茶をお入れします」
車椅子の車輪を回転させようと動かした絵恋の母親を、制止するように言葉を続けた。
「……絵恋さんは泣き崩れて落ち込んでいます。貴方は娘を深く傷つけても平気なんですね――」
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