プロローグ

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ある日、その人に出会った その人は黙って、ただ僕の傍にいてくれた 何をするでもなく、ただそこに でも、僕は喜んでいた 人間の僕は、笑っていた 別にそれは愛情なんかではなかった 似ても似つかない、ただ一つの感情 かわいそうだから 独りぼっちがかわいそうだったから 傍にいてあげた その人は何も言わずそこに居た 寂しくなかった だから僕も何もいわずに居た 傷つけるのが怖かった 傷つけたら、消えてしまいそうで それから暫くそれが続いた 何をするでもなく、ただそこに 二人並んでいただけだった それだけで、僕は満足してしまった 愛情なんてものではなかったはずなのに
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