プロローグ

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ある日、その人は去っていった 誰かに手を引かれて、僕の目の届かないところに その人は最後に僕を見つめて、背を向けた その表情に何が込められていたのか 何も知らなかった僕には分からなかった ただ遠ざかるのを見つめていた 呆然と、見つめていた その人はもう僕のことなど見ていない きっぱりと、そこで終わってしまったのだ これは必然だったのだろうか 僕が、醜い人間だからだったのだろうか それはずっと分からない 心の中で叫んでいたのだ それが僕の大嫌いな感情で、一方的な愛情だった まって いかないで――
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