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窓の外を眺めると、幸せそうに微笑む男女。
手を繋いで微笑み、いかにも楽しそうな男女。
照れながら、初めてのデートを楽しむ男女。
ずっと一緒に、談笑する男女。
子供と一緒に、喜びに満ち溢れる男女。
それが、苦しかった。憎らしかった。
見ていると、心がなんとも言えぬ虚無感に苛まれるのだ。
どうして。
笑っていられるのなんて、本人が思っているよりも、ずっと、ずっと、ずっと短い。
そう、あまりにも短すぎて、無いようなものだ。
窓から目を離した。
誰も居ない部屋、ただただ広い部屋。
僕はこの城の、一体何処にいるんだろう。
僕は、僕の心に入れない。
ドアを作れない。
それは幼い僕のプライド。
そう、誰も入ることを許さない。
自分自身さえも。
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