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俺の腕にスッポリと収まったそれは重さや衝撃など全く感じない代物だった。
白いワンピース姿の少女の顔はパッチリとした二重の双眸にすっと通った鼻梁と整った顔立ちで、肌は白く澄んでおり、十代後半の顔立ちだった。
そんな少女と目が重なった。
少女は自分の置かれた状況に気づいたはずなのに平然とした表情をしていた。
「…おい、オマエ。私を下ろさんか」
そんな態度にひどくがっかりした俺は彼女を地面に下ろした。
「なあ。普通こんな時は、顔を赤らめて『…あ、あのっ。下ろしてください』って呟いてくれるんじゃないのかよ」
「ふっ、オマエは私に何を求めているのだ」
「それは求めるだろ。美少女が空から降ってきたのだから。普通、美少女が空から降ってきたら、大概美少女で、かつ可愛らしい表情で、それでいて予想外発言で物語が展開していくんだよ」
(やばい、不覚にも美少女と連呼してしまった)
「……どこの世界に空から女の子が降ってくることが普通に起きるのだ」
彼女は呆れた顔でツッコミをいれた。
(おい、美少女という単語は肯定するのかよ)
……それもそうだ……。
「ただし、オマエの選択によっては、予想外に物語が展開していくかもしれないな」
「……えっ!?」
彼女はにやけた顔で俺の顔をずっと見つめた。
「紹介が遅れたが私のことは『案内人』と呼ぶが良い」
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