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「……あ、案内人?」
彼女の発言に、俺は首を傾げる。
「オマエはこの状況に関してどこまで理解している?」
状況というのはこの現状のことだろうか?俺が死んだという――
「俺が死んでこれから三途の川を渡るって事態にか?」
「ふっ。半分あっていて半分は外れているな。確かにオマエは死んだ。だが三途の川を渡る必要はないのだ」
「じゃあ何か?三途の川を渡らないで閻魔のところにでも飛んで行くっていうのかよ」
「いやいや。そもそも根本的な間違いなのだがオマエは死んだが実際には死んでいないのだよ」
「はぁ?」
「それともう一点。実際に死んだら三途の川を通るやら、閻魔大王のところへ行くのやらといった事情に関して私は知りかねるのだ」
「……どうしてだ?オマエは案内人なんだろ」
そう死の世界へと誘う――
「オマエが想像するような案内人とはわけが違うのだ」
「どう違うって……」
「まあ、一つずつ説明していこう」
彼女は真剣な顔で淡々と話した。
「確かにオマエは現世で死を迎え、その死の世界へと行くはずだったのだ。正規な手続きを踏んでな」
「正規な手続き?」
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