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「これは私も聞いた話なのだが、どうやら私たちが想像する死の世界とやらは、現世に干渉して死ぬ時期はわかってリスト化されているそうだ。だから彼らにとっては死の世界に行く人をきちんと把握したうえで死の世界を管理していく。――そんな中、ある問題が生じたのだよ。彼らの管理者リストに無い名前が上がってきたのだ。彼らにとってはリストは絶対。つまりリストに無い名前が上がってきたとするのならそれは死ぬべきはずの人間ではないということだ」
淡々と話す彼女の話をただ聞くことしかできなかった俺がいた。
「死ぬべきはずではなかった人間が死んだというイレギュラーに対して彼らは考えたのだそうだ。――それはそうだ。今まで正常に機能していたはずのシステムに突然不具合が生じたのだからな。オマエならどうだ」
そう話すと彼女は突然一本のネジを目の前に出現させた。
「ここに一本の自動車のネジが存在する。もしそれが――」
彼女の掛け声と一緒にそのネジが……
「このように釘にすり替えられていたらどうする?もしかしたらその不備のせいで車そのものがダメになるのかもしれないな。――つまり彼らも同じことを想像したのだよ。死の世界の次元が狂うのではないのかと」
彼女の言っていることは一理ある。世界の管理者とはイレジュラーつまり得体の知れないものは恐れ消そうとする傾向がある。
「でだ、話を戻すがその管理者リストに名前が載っていなかったオマエはイレギュラーな存在なのだよ」
彼女の人差し指が俺に向けられた。
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