第1話

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 俺の名前は脇乃下前後(わきのしたぜんご)。なんの取り柄もない、ただ人よりも結構イケメンで、多少運動神経が良くて、ギターを弾くのが普通に上手な超イケメンロックンローラーである。  と、まあ上を見ればわかる通り、あまり頭はよくないけれど、そこはご愛敬。  そんなわけで、俺こと前後ちゃんは、今日も今日とてロックでハードボイルドな日常を過ごしていた。  ('A`)    高校の帰り道である。  いつもの様に、授業という超えなくてはならない壁をタラタラと登りきった俺は、これまたいつも通りに友人二人を引き連れて帰っていたわけだ。  そんな時、不意にその片方は言った。  「前後ちゃん。俺な、実は幼女をぺろぺろしたくてたまらないロリコンだったんだ」  虚空見つめながらそう呟いたのは、俺と山ピーを累乗して二倍したかのようにイケメンな、梁紙ビリヤードだった。ちなみに、読み仮名は"はしがみビ・リヤード"で、純粋な日本人である。特技は夜のボーリング。  「いや知ってるけど、そんなキラキラしながらのゲスな発言はよしてくれよ。」  どんな汚い言葉も、イケメンを超越したこいつが言うとかっこよく思えてしまうから仕方ない。今度女の子の前で使いたくなっちゃう。  「そうだぶふぅ。今時は幼女じゃないぶひゅう。男だちゅう。びゅぴゅるるるぅ~」  そう言ったのは、リヤードの隣を歩くデブ、ファンキー・D・ラードだった。その名からわかるだろうが彼は油が大好物で、今飲んでいるあれも、水でもラードでもなく、実は油だったりする。口癖は「油は飲み物だっぷぅ」、だ。言うまでもなく、同性愛者である。    
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