遥子の渇き

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女としての自信を失い、渇いていた私は彼の言葉が素直に嬉しかった。 夫は夫、恋は恋で割り切って楽しめばいい――。 その日は久しぶりに浮かれ気分にさえなった。 だが、しかし…… 私の女心はさらに深い谷底へと突き落とされる。 翌日も翌々日も私は彼からのメールを待っていた。 初めて会って別れた直後、私はすぐにメールを送っていたから。 『今日はとても楽しかったです。“また会おう”と言ってくれたことも嬉しくて。私もまた会いたいと思ってます!』 すぐに返信は来ると思っていた。 それなのに、三日待っても連絡がないのだ。 これは明らかにおかしい。 会う前は毎日メール交換していて、三日なんて空いたことがなかった。 五日目、とうとう堪え切れなくなった私は、彼の携帯にもう一度メールを送る。 すると……エラーで送れない。
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