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だから……
自慢の身体を孝一に見せるシチュエーションを作らなくては。
私のすべてで彼を虜にしてしまいたい。
芝居のチケットを三枚用意したのはダメ元での賭けだった。
三人での初詣なんて断られる覚悟もしていた。
断られないにしても、沙織抜きの二人で行ける可能性なんて僅かだと思っていた。
だけど……
恋の神様は私に味方したようだ。
企画書で忙しい沙織は抜きで、孝一と二人で行けることになったのだ。
今まで辛い恋ばかりだったから、今度こそ幸せになりたい。
そんな強い願いが天にまで届いたのかもしれない。
――二兎追う者は一兎も得ず。
沙織は“結婚”と“シナリオライター”の二兎を追っている。
私が欲しいのは“孝一”の一兎だけ。
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