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彼の言葉に私の自信はますます強くなる。
「でも、いいの? 沙織が待ってるよね?」
「大丈夫だよ。今は企画書に夢中だから。沙織は僕なんかより企画書優先」
「淋しい?」
私は少しからかう口調で聞いてみた。
彼の本音を探りたくて……。
「いや、今はむしろ気が楽かもしれない」
「どうして?」
「うーん……何て言えばいいのかな……。まだ結婚してるわけじゃないし、僕も仕事が凄く忙しい時もあるから。沙織が自分の世界を持ってるのは気が楽だよ」
「そっか。じゃあ孝一さんだけをじっと待ってる女性だと、気が重くなっちゃうの?」
「それはどうだろう? 考えたこともないけど……相手にもよるんじゃないかな」
孝一は答えたあと、お猪口をくいっと飲み干した。
私は空になったお猪口に日本酒を注ぎながら尋ねる。
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