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「孝一さんは沙織以外の女性が気になったことはないの?」
「沙織と付き合う前のこと?」
「ううん、沙織と付き合い始めてから。ほら、もう三年の付き合いでしょ? その間、一度もほかの女性が気にならなかったのかな?って」
私は口元に笑みを浮かべながら、いたずらっぽい目で彼を見つめた。
この表情が自分の中では色っぽいものの一つだと自覚している。
彼は目をパチパチさせながら、照れ臭そうに下を向いた。
「そういう機会もなかったから。開発職だと男ばっかりだし、職場以外で女性と出会うきっかけもなかったし……」
「いいなぁ。沙織は孝一さんみたいな人にずっと愛されてて」
私は心から羨ましそうな声を出した。
孝一はお酒のせいか照れのせいか、頬が少し赤い。
「なんか酔っちゃったみたい」
私が言うと、「僕もだよ」と孝一も口を合わせた。
「酔ったら甘えたくなっちゃた。ワガママ言ってもいい?」
私は彼を見つめながら、媚びるように尋ねた。
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