留美の欲望

11/16
前へ
/32ページ
次へ
「どんなこと? そんなふうに言われるとドキドキするよ」 孝一は本当に緊張している様子。 私に何を言われるのか気にして身構えている。 「今夜は家まで送ってくれる?」 その言葉を聞いた途端、孝一はホッとしたような笑顔を見せた。 「いいよ。ちゃんと送り届けるよ。留美さんがこんなに酔ってたら心配だし」 「ありがとう」 私はニッコリほほ笑んで時計を見た。 9時15分。 この店で二時間近く飲んでいたことになる。 そんなに経っているとは思えないほど、孝一との時間は楽しく感じた。 「じゃあ、そろそろ帰ろうかな」 私の言葉に頷く孝一。 「ごちそうさまでした。お言葉に甘えちゃってごめんなさい」
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

534人が本棚に入れています
本棚に追加