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私に続いて彼も玄関の中へ入った。
中からガチャリと鍵をかける。
そして――
私はその場で彼に抱きついた。
驚いて固まったままの孝一。
「好きなの」
私は切なげな声を出す。
「沙織がいても……どうしても好きなの」
「……」
「二番目でいい。私とも会って」
私は彼の背中に回した腕に力を込めた。
彼は身動きせず、絞り出すような声で言う。
「そんなの……留美さんに悪いよ」
「ううん、私の勝手なワガママだから」
「……」
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