遥子の渇き

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あまりにも有りがちな理由に自分でも笑ってしまう。 私が男たちとの情事に耽るようになった原因は、夫の無関心。 平凡で通俗的でくだらない状況に、まさか自分が陥ってしまうなんて……。 二つ年上の夫とは大学時代のサークルで知り合い、私が卒業して一年もしないうちに結婚した。 まだ私は23歳だった。 結婚のきっかけは夫の転勤。 遠距離恋愛を辛く感じた私たちは結婚を決意し、私は夫と共に東京から大阪へ。 お互いあの頃は、なんて情熱的だったのだろう――。 今の現状からは考えなれないほど、当時の私たちの愛情は強かった。 交際期間も二年は経っていたから、若気の至りとか勢いというわけでもない。 私たちはお互いを“永遠に最愛の人”だと信じていたのだ。 夫の気持ちが冷めてしまう事など、私に関心がなくなってしまう事など、想像もしなかった。
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