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2月10日、バレンタインデーの4日前に私は遥子と会っていた。
一週間前に「会いたい」と遥子から電話をもらい、約半年ぶりの再会。
遥子は私の会社近くで仕事が終わるのを待っててくれて、一緒にホテルのラウンジへ行った。
ティータイムが終わりバータイムに変わったばかりの時刻で客は疎ら。
「ここなら何でも話せると思って」
遥子はそう言って悲しげに微笑む。
確かにこのラウンジは話しやすい雰囲気だ。
一つ一つの席が隣りと離れているので他客を気にしなくていい。
よほど大きな声でも出さない限り、私たちの会話は周りに聞こえないだろう。
お酒を飲みながら秘密の話などするには最適な場所だった。
私はカンパリソーダ、遥子はバーボンの水割りを頼んで乾杯する。
「突然の誘いで驚いたでしょ?」
「うん。話したいって言われたから、遥子に何があったのかずっと気になってた」
「……」
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