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冷淡で不誠実な夫など、遥子の方から捨てて欲しかったのかもしれない。
私自身は孝一以外の男性と恋をする気も遊ぶ気もなかった。
そう思えるのは、きっと明確な目標があるから。
私は改めて深く感謝する気持ちになった。
まだ叶ってはいないけれど、夢や目標があることに。
夢を叶える可能性や目指せる環境があることに。
「本気の恋なんて、そんな簡単に見つからないわよ」
遥子は自嘲気味に笑いながら言葉を続ける。
「私の男漁りだって、本当はちゃんとした愛を求めてたんだもの」
「……」
「だけど誰も私なんか愛してくれなかった」
言い終えた遥子は煽るように水割りを飲む。
私は思わず口走っていた。
「遥子……私の知り合いと会ってみない?」
深く考えもせず、つい出てしまった言葉だった。
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