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やっぱり彼はそれを望んでいるんだ――。
嫌悪感や幻滅はまったく感じなかった。
むしろ安堵したぐらいだった。
私に女としての魅力を少しでも感じてくれたことに……。
彼ほどの人ならば、女性には不自由しない筈だ。
女優と付き合うことだって不可能じゃないと思う。
そんな彼が平凡な私を求めてくれたことが嬉しかった。
卑屈な考え方かもしれない。
だけど長い間、夫からも見放されてる私だから……。
彼は楽しそうに言葉を続ける。
「夜景が綺麗に見えるホテルでもいいし、ゆっくり温泉に浸れる静かな旅館でもいいし。遥子ちゃんはどっちがいい?」
「泊まることは決定なんですね?」
私が笑いながら尋ねると、彼は「当然!」と愉快そうに言った。
「じゃあ、どっちも。両方お願いします」
「ははは、遥子ちゃんは欲張りだね」
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