258人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
「何もない関係、って……?」
おおよその見当はつくものの、確認せずにはいられない。
きっと遥子のご主人は彼女に無関心なのだろう。
二人の時間も会話も、スキンシップさえ無いのかもしれない。
「形だけは夫婦してても中身は空っぽ。私に対する愛なんかない。情もない。きっと」
投げやりな口調で遥子は言った。
「遥子の方はどうなの? 遥子の気持ちは?」
聞きながら、ふと疑問を感じた。
なぜ遥子は私なんかに、こんな重大な身の上話をする気になったんだろう?
半年前に奈緒美の結婚披露宴で会ったけれど、それまでは疎遠になりかけていた。
その披露宴で再会してからも、留美とのように距離が縮まったわけでもない。
独身の私と専業主婦の遥子とでは話が合わないと思い、自分から距離を縮める気も起こらなかった。
忙しい私にとって、新たな人間関係を深めるのが面倒だった……というのもある。
最初のコメントを投稿しよう!