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だけど、遥子の方はどうなんだろう?
私なんかに話すぐらいだから、親しい友人もいないのかもしれない。
「私の気持ち? 私は夫を好きだわ。今でも愛してる」
「じゃあ、なぜ、」
“男漁りなんか”と言おうとして言葉が止まってしまった。
遥子の目に涙が滲んでいるのに気づいたから……。
私の質問は愚問。
おそらく遥子は深い孤独と戦っているのだろう。
「ご主人と、ちゃんと話してみた方がいいんじゃない? 遥子の気持ちも伝えた方がいいと思う」
「それとなく伝えてみたことはあったわ。子供が欲しい、とかね。でもダメ。拒絶されちゃうの」
「夫婦なのにそれでいいの?」
「仕方ないじゃない。強く言ったら離婚を切り出されるかもしれない。私、そんなの嫌だから」
遥子の言葉が私の胸を塞いだ。
彼女の状況や心境は、まさに今の自分とシンクロする。
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