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孝一の悲しげな顔……。
私は敢えて明るく振る舞った。
「ほーんと残念! でもまた頑張るから。プロデューサーも励ましてくれたし」
「うん。それで、こんな時に悪いんだけど……沙織に話があるんだ」
「……」
あくまで孝一は今夜話すつもりらしい。
それでも私は抵抗を試みる。
「今じゃなきゃダメなの? 私、今日は凄く疲れちゃって。メチャクチャ落ち込んでるし」
「そうだよな……」
「今夜はゆっくりお風呂に浸かって、ぐっすり眠りたい」
「わかった。じゃあ明日話そう」
孝一が譲歩してくれたので、私も頷いた。
苦しい話し合いが一日だけ延ばされたにすぎない。
だけど今夜だけは何も考えたくなかった。
何かを考えるには、身も心も限界だった。
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