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「僕が悪いんだよな。いつまでもこんな状態は続けられないし、留美にも失礼だし」
孝一は今にも結論を口にしそうな雰囲気だった。
ハッキリさせることを望んでた私なのに、強い恐れも感じてしまう。
もしも私の方が捨てられたら?
その不安が頭から離れない。
「その話はまた別の時じゃダメ? 今日は楽しい気分でいたいから!」
上目使いで私が言うと、孝一はホッとした顔になった。
「ありがとう。そう言ってもらえると気が楽になるよ。でもいずれは、ちゃんとするから」
“ちゃんとする”の意図は、沙織と別れて私を選ぶということ……?
悲しいかな、何の根拠もない口約束を信じられるほど、私は純粋ではない。
「ごちそうさま。ほんと美味しかった!」
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