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私が身体を密着させたままでいると、彼の息遣いが変化してきた。
と同時に彼の腕が私の背中に回り、強く抱きしめられた。
「やっぱり留美が好きだ。留美と一緒にいたい……」
彼の切なげな声が響く。
その声を聞きながら、私の心に歓喜が満ちてきた――。
ベッドでの交わりが終わった後も、私たちはしばらく抱き合ったまま動かなかった。
私は彼の腕の中で余韻に浸る。
ついさっきまで身体の隅々で感じていた甘やかな感覚を反芻する一方、頭の片隅では悪魔の自分がささやいていた。
――睡眠薬、忘れないで。
もうすぐ彼はミネラルウォーターを欲しがるだろう。
その中に必ず薬を入れなければ……。
しかし彼はなかなか次の行動に移ろうとしない。
いつまでも私を抱きしめたままだ。
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