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「こうしてると本当に落ち着くわ……」
ベッドの上で孝一に腕枕されながら私は囁いた。
今夜も孝一は私のマンションに寄ってくれた。
同じ会社に勤めていても、毎日ほぼ定時に終わる私と違って彼には残業がある。
だから先に帰った私が食事を作り、彼が来てくれるのを待つようになった。
「そろそろ帰らなくちゃ」
言いながら孝一は、私の首下に置いていた腕をそっと抜いた。
この瞬間、淋しい気持ちに襲われる。
彼が沙織のところへ帰ってしまうのを実感するからだ。
私は淋しさを埋めるように声を出す。
どうしても確認したいことがあって。
「ねぇ?」
「ん?」
「バレンタインの夜は、ずっと一緒にいたいな……」
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