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「あれとテーマが被るからって、局の会議で反対意見が出ちゃったみたいでさ」
「……」
「結局、反対意見が優勢になっちゃって」
「そうですか……」
私がその企画書を書き始めたのは去年。
だから勿論、他局のドラマと似てしまったのは不運な偶然だ。
それはプロデューサーも理解していて同情してくれた。
「お正月に書き直しまでしてもらったのに悪かったね」
「いえ、とんでもないです。不採用は残念ですけど、いい勉強になりました」
口ではそう答えたものの、内心の失望はとても大きかった。
この企画書が採用されれば、脚本家デビューを約束されていたのだから。
「だけど今回は局からも企画書のギャラは出るみたいだから。また頑張ってよ」
「はい」
「うちはいつもの通り、雀の涙しか出せなくて申し訳ないけど」
「いえ、本当に感謝してます」
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