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「沙織は本当に気づいてないの? 私たちの関係」
孝一はすでに服を着終え、今にも帰ろうとしていた。
「気づいてないと思う。何も言ってこないし」
「そう……」
そんな筈はないのだ。
それは私が一番よく知っている。
沙織と直接会って孝一との関係を暴露したし、嫌がらせのような電話もかけた。
それなのに、沙織は孝一に何も言わないなんて……。
私の存在を完全に無視するつもりなのだろう。
騒いだりしない方が得策だと判断したのだろう。
私は歯痒くて仕方なかった。
孝一のはっきりしない態度も、沙織の静かな反応も。
このままじゃまずい。
何とか次の手を打たなければ……。
私はバレンタインの夜に賭けるつもりだった。
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