留美の焦り

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そしてバレンタインの当日――。 孝一はバラの花束を抱えて私の部屋に来てくれた。 「これ。他に気の利いた物が浮かばなくて……」 照れ臭そうに花束を差し出す孝一。 「わぁ嬉しい! 感激よ!」 私は孝一に抱きついた。 彼は私の身体をしっかりと受け止め、優しいキスをする。 「今夜は孝一さんの好きなクリームシチューにしたわ。ゆっくり食べてってね」 「ありがとう。留美にはいつも癒されてるよ」 「癒されるだけじゃイヤ」 「ん?」 「ときめいて欲しい。夢中になって欲しい」 私が甘え口調で言うと、孝一は頬を赤くして笑った。 「もちろん夢中になってるよ」
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